mini SAL機 「NANO」


 
巷でミニサイズのSAL機がブームになっています。Fireworks有名なPCM社のHP
Smallest DLG
「NANO」 の図面と製作マニュアルが公開されていることを某所で知り、早速自作することにしました。

図面と製作マニュアルはhttp://www.pcm.at/downloads/Bauanleitungen/Nano-BI-Engl.pdfより
ダウンロードできます。
公開されているversion2は3サーボ仕様ですが、重量が気になるので2サーボで製作することにしました。

この機体の主なスペックは、 全巾:500mm・ 主翼面積:4.5dm2・ 主翼翼型:AG11・
サーボ:mamoM37(トルク0.6kg) バッテリー:Lipo130mAh となっています。

早速製作スタートです。
 

■材料準備

翼面荷重10g/dm2を目指すと45g以内に納める必要があります。バルサはなるべく軽いものを集めました。まずはバルサの重量測定をして、比重を割り出します。

比重0.1以下のバルサが「軽い」バルサですのでC以外はすべて合格。

■グラインディングブロックの作成

マニュアルに記載されているとおりグラインディングブロックを作成します。正確な翼型に仕上げるための素晴らしいアイデアだと思います。
30度のブロック(左)
10度のブロック(右)
を作ります。
材料はスタイロフォーム(SuperGee製作時に使用したJIS3種のスタイロエースII)を使用。カッターなどで荒削りしたあと、サンドペーパーで整えます。

粘着剤付ロールペーパー#240を貼付け

■主翼の作成

型紙を貼り付けてバルサをカットします。はスプレーのり55を用いると、貼ったりはがしたりできて便利です。

マニュアルでは6ミリバルサが指定されていましたが手に入らず、やむ終えず5ミリバルサを使用。薄翼になるので性能はかなり変わってしまうかも知れません・・

カットしたバルサを、30度のブロックで1本目のガイドラインまで削った後、10度のブロックで2本目のガイドラインまで削ります。(翼厚5ミリなのでラインは引きなおしています。)

このあと、3本目のラインから後縁までサンディングした後に全体を滑らかに仕上げて完成です。

※翼型はAG11ということでUIUCのHPよりダウンロードし、見比べましたが、どうも違うような・・

型紙を貼りなおして、エルロンを切り出し、ヒンジラインのカットを行います。

型紙ではトリエルロンになっていますがトリエルロンの作り方が?なので通常のエルロンにしました。

主翼重量11.6gになりました。

■垂直尾翼の製作

垂直尾翼はマニュアルどおり、3ミリのバルサを使用。サンディング前で1.6g

主翼と同じ方法で成形します。成形後重量は1.1gとなりました。

補強の為に0.15ミリ厚のカーボンシートを埋め込みます。RC飛行機実験工房さんのAtlantis-5のスパー接着の動画で紹介されています。
※日曜工作ランドWing&WingsのSuperGeeIIの製作でもカーボンスパーの部分で紹介しています。今回は幅3ミリのマイナスドライバーを使用して溝を施しました。

両面に補強することでかなり強度UPしました。なぜか?重量は1.1gで補強前と変わらず。

■尾翼の製作

水平尾翼は比重1.4の1ミリバルサを使用。
重量は0.6g

成形の手間を省くのと、軽量化の為です。

さすがに1ミリではペラペラですが両面からカーボンシートで補強することで強度を確保します。

重量0.9g

■主翼にスパー

勢いで、主翼にもスパーの補強を施しました。

重量は12.8g:補強前と比べて1.2g増加。

あと、スパー補強はこの位置でよかったのか?

あとから考えると、余計なことをしてしまったのではないか
・・ ・・と反省

主翼の接合。5度の上半角をキープできるよう接合時の治具を兼ねながらバルサ繊維の切れ目をずらして接合強度を高めるすばらしいアイデアです。このあと、 接合部にできる穴をバルサで埋木し、ガラスクロス+瞬間接着剤で補強しました。

ウイングレットは1.5ミリ航空ベニアを使用。 軽量化の為にサンドペーパーでエッジを丸めます。主翼説接合部はガラスクロスで補強。

■胴体

胴体の型紙を切り抜き、サーボをあてがって現物合わせします。サーボは手元にあったBLUEBIRD BMS303 コネクター含む重量は4.5g、トルク0.4kg。

型紙は3サーボ仕様ですが、重量が気になるので2サーボ仕様に。後ろが重くなるだろうと予測して前よりの2つのサーボベッドを使用することにしました。

胴体の切り出し完了。マニュアルでは4ミリバルサとなっていましたが、手元になかったので縦材:5ミリ、横材3ミリのバルサを使用。この変更によりはめ合わせの穴の大きさを変えています。
バルサのカットにはOLFA 30度鋭角刃を使用するとカットし易いです。

マニュアルでは胴体をカーボンロービングで補強するようになっていますが、0.15ミリ厚のカーボンシートを瞬間接着剤で貼り付けました。これで十分強度が確保できます。

■フィルム貼り

フィルムの重量もバカにならないものです。オラライトよりさらに軽量なフィルムを、アサミさんで販売されていましたが、閉店されてしまったので今は手に入りません。

いろいろと探していたところ、長万部航空機さんから「ミクロンフィルム」として発売されていましたので早速購入しました。

310x4mで¥840。

ミクロンフィルム 厚さ27μ。乳白色をしていますが加熱すると透明になります。離型紙がないのでそのまま使えて扱いやすいです。

重量は1dm2あたり0.2g。でもあまりに軽いので秤の誤差があるかも・・

裏からスプレー着色すれば、カラーフィルムとして使えます。接着力が無くなるのかと思いきや、塗料乾燥後は問題なく接着できます。

塗装による重量増が気になったのでためし塗りしてみたところ、1dm2あたり0.2g増加の計0.4g。(薄塗りにしています)

本番塗装です。新聞紙にスプレーのり55を吹いて、その上にミクロンフィルムを乗せます。スプレーのり55は丸まったり、吹き飛んだりするのを防ぎます。

光沢面が表です。裏(ザラザラ面)に塗装を行いますのでザラザラ面を上にして貼り付けます。

予めデザインを決めた上で、型紙を準備します。 型紙の先っぽの出っ張りは位置決め用です。

型紙は左右各1枚準備します・

アクリルラッカースプレーを吹いて、型紙を取り除きます。これで完全に乾くのを待ちます。

フィルムは低温で貼ります。薄いので細かいしわができ易いのでちょっとコツが必要です。

それから、高温でシュリンクさせると、反り・ねじれが出るリスクが高まりますので、殆どシュリンクさせないつもりでしわを伸ばすように丁寧に貼り付けていきます。

■胴体と主翼の組立

主翼の穴に胴体に差込んだあとで、胴体水平板を接着します。

接合部の強度UPの為、胴体水平板の長さを変更することにしました。

・後ろの水平板を短くし
・前の水平板を延長し、
前と後からオーバーハングさせることにしました。

左写真の中央が延長した前方水平板、下が図面どおりの水平板。

サーボの切欠による強度低下を防ぐ為に、サーボは胴体に接着します。サーボにテープを貼った後、コニシ・ウルトラ多用途SUボンドで接着しました。

トラブル発生!ここで、受信機・バッテリーを繋いでサーボをチェックしてみると片方のサーボの動きがどうもぎこちない。

気になるので急遽、サーボを取り替えました。

■垂直尾翼の接合

垂直尾翼は型紙どおりに材料を切出した材料を瞬間接着剤で固定します。

接合部を0.15ミリ厚のカーボンシートで補強し、その上から、ガラスクロスをあてがいます。ガラスクロスにはスプレーのり55を吹いて貼り付けるとズレがなくうまく作業できます。

瞬間接着剤を付けたあと、ポリエチレンシートで押さえて硬化を待ちます。

フィルムを貼って完了。

実は間抜けな失敗をしてしましました。エレベーターを入れ忘れていたのです。やむを得ず、水平尾翼の上にある補強板をカットして差込み、カット部を接着+補強しました。

■エレベーターのリンケージ

ギター弦の登場。

通販では6本セットしかなかったのでDaddarioEXL115を購入。(管理人はギターの知識は全くありません)

0.011インチ=0.28ミリ トーションスプリングに使用。
0.014インチ=0.36ミリ エレベーターリンケージに使用。
0.018インチ=0.46ミリ いずれ、フルサイズSAL機リンケージに使用。

と、ちゃっかりと活用します。でも残りの3本はどうしよう・・

エレベーターのリンケージはマニュアルではトーションスプリング方式となっていますが、この方法は常にサーボに負荷がかかるので、安物のサーボでは耐久性に問題があることと、バッテリーの消費が大きいことを勘案し、競技用SAL機で使用されるテフロンチューブによるプッシュロッド方式に変更しました。


この方法はテフロンチューブとギター弦を使用します。RC飛行機実験工房さんのAtlantis-5の紹介ページの「リンケージ」の部分に詳説されています。
※日曜工作ランドWing&WingsのSGIIの製作ページでも紹介しています。

尚、テフロンチューブは「ボンダブルテフロンチューブ #20」がSALフライヤーの皆さんの御用達。R/C Web Shop Kbさんで手に入ります。

 

ギター弦は軽量化の為に0.014インチを使用。気になる重量ですが、 テフロンチューブとギター弦で0.4gでした。これなら良しとしましょう。

 

テフロンチューブは瞬間接着剤で胴体にしっかりと固定します。ホーンの手前までバルサでスロープをつくります。

 

ホーンは0.5ミリのFRP板を使用。0.5ミリのキリで0.5ミリの穴を開けます。

■エルロンのリンケージ

エルロンのリンケージはマニュアル通りトーションスプリング方式としました。

この方法を使用するのは初めてです。スプリングには0.011インチ=0.28ミリのギター弦を使用。(マニュアルでは0.3ミリと記載されています)

12ミリ×25ミリ×12ミリのコの字型に曲げます。

エルロンを取付け後、180度折り返した状態でトーションスプリングを差し込みます。

これだけで完了。リンケージを軽く仕上げることができ、とても優れたアイデアだと思います。

ホーンは0.5ミリのFRP板を使用。リンケージにはケブラー糸を使用。

サーボホーンはSouthernX-AMで採用されている方法にしました。 ケブラー糸は左から右まで1本で行い、ワッシャをかましたビスで位置決めします。

■完成

バッテリーは1セル HXT 100mAh 12-20C、16x29x3mm、3.4g (¥450)

Web Shop atorie_m_mさんで購入。

完成全備重量は47.7g。目標の45gには届きませんでした。

補強の為にと、瞬間接着剤の使い過ぎました。おかげで強度はあり余っています。

左の主翼の方が少し重くなっているので受信機とバッテリーは胴体に右側に搭載。

サーボのケーブルは軽量化とスリム化の為に長さを詰めました。

受信機はクッション付両面テープ貼りの上、糸で外れ止め。バッテリーは胴体水平版に切り込みを入れて差込みました。